複雑な時代を反映して、人は誰しも健康や、仕事・経済、人間関係、自分の将来のことなどに関して何らかの「悩み」や「不安」を抱えて生きています。それでも何とか自分を奮い立たせて、上手に気分転換をして心のバランスをとりながら、日々生活しているのです。しかし、それらの「悩み」や「不安」が
自分ではどうしようもなくなってしまうと、強いストレスに心が耐え切れず、心の病気にかかる人も少なくありません。そんな心の悩みを抱えた人や、ストレスに耐えられなくなった人のサポートをするのが、心理カウンセラーなのです。
1.心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは、悩みやストレスを抱える人たちの相談にのって、対話や心理療法などのアプローチを用いながら改善に導くメンタルケアのスペシャリストです。心理学や脳科学、カウンセリングの知識に基づいて相談者の話を傾聴し、相談者本人の力で解決の方向性を見出すことを主として行っています。あくまでも、悩みの解決策を本人自らが探っていくことの手助けをするのが、心理カウンセラーです。
2.心理カウンセラーになるには
心理カウンセラーは職種名であり、必要資格や経験年数の規定は特にありません。しかし、資格を持っていることは、カウンセラーとしての知識や技術を証明する目安となります。自分自身のキャリアや目標に合わせた資格の取得をお勧めします。
心理カウンセラー関連の資格には、日本初の臨床心理分野の国家資格である「公認心理師」、指定大学院や専門職大学院修了が資格取得条件になっている民間資格の「臨床心理士」などがあります。「公認心理師」と「臨床心理士」は、大学と大学院において必要な科目の修了と、大学院によっては1年以上の臨床経験を必要とするところもあります。資格取得には長い時間を要しますが、募集する医療施設などでは、これらの資格を有することを採用の条件としているところもあります。
一方で、通信講座でも社会で十分活かせる心理カウンセラー関連の資格を取得することも可能です。
民間団体が認定している「産業カウンセラー」「キャリアコンサルタント」「メンタル心理カウンセラー」
「NLPプラクティショナー」など、さまざまです。講座にもよりますが、民間の認定資格では短期間で取得できるものもあります。
3.どんな仕事をするのか
ストレスによる問題を多く抱える現代社会では、学校や病院、企業などさまざまなところで、心の病や問題の解決をサポートする心理カウンセラーの存在が求められています。心理カウンセラーは主に心理カウンセリング行いますが、所属先によって求められる仕事や役割も変わってきます。
<主な仕事内容>
・心の問題を抱えた方やその家族の相談にのり、苦しみや悩みの軽減を図る。
・友人や家族、教師との関係、学業のこと、不登校、摂食障害、発達障害などの悩み、病気に関する相談にのる
・職場での人間関係の悩みや、うつ病などの心の病などに向き合いサポートする
・仕事上の悩みを通じて自己理解を深められるよう導く
・企業セミナーなどで、メンタルヘルスケアの講義を実施する
・子どもを持つ親からの相談を受ける
・犯罪者に対して心理検査や面接を実施し、犯行時の精神状態を明らかにする
・臨床心理学の知見に基づいて、認知行動療法や精神分析療法などの心理療法、カウンセリングを行う
<仕事領域・主な活躍の場>
・医療:病院やクリニック、保険授与、精神保健センターなど
・教育:学校や教育センターなど
・産業:企業内の相談室、職業安定所、健康管理センターなど
・福祉:児童相談所、身体障害者・知的障害者更生相談所、障害者施設、高齢者福祉施設、リハビリテーションセンター、精神保健福祉センターなど
・司法・矯正:家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所、少年院など
・大学・研究:専門学校、大学、大学付属の心理臨床センター、民間企業の研究機関など
4.独立・開業について
心理カウンセラーとして経験や実績を積んで、その後に独立・開業するケースもあります。他の業種と
比べて少ない出費で開業できる点や、手続きが簡単である点から、比較的独立・開業しやすいと言えま
す。副業としてではなく本業としてやっていく場合は、1年間はクライアントが来なくても生計を維持
できるだけの蓄えはあった方が、余裕をもってじっくりと取り組むことができることでしょう。
心理カウンセラーの活躍の場は多種多様であり、色々な方を相手にカウンセリングを行っています。
必要な場合は相談者の関係者とも情報を共有し、根本的な問題の解決に貢献することもあります。
心理カウンセラーの働き方は、役割期待の大きさの割に非正規雇用が多いなど、恵まれた状況とは言え
ません。しかしながら心の病にかかる人たちが増えている社会状況を受けて、心理カウンセラーの果た
す役割は一層大きくなっていると言えます。
自分自身が心理カウンセラーとしてどのようなスタイルで働きたいのかを明確にして、日頃から積極的
に情報収集を重ねていくように心がけていきましょう。